船舶用のナノエマルジョン燃料装置の開発にあたり、造船会社、船主、および舶用エンジンメーカーと協議する中で、燃料タンク内の油分、さびなど燃料油タンク等に沈殿する固形物および燃料油、潤滑油等を清浄化する際に発生する油性固形物などの船内廃棄物であるスラッジの発生とその処理が、舶用燃料使用における大きな課題の一つであることがわかりました。
スラッジは、原油中に含まれるワックスおよびアスファルテンなどの炭化水素系の物質とそれ以外の分解生成物などにより構成されますが、その中にはFCC (Fluid Catalyst Cracking)触媒という非常に硬質な粒子が含まれています。シリカアルミナを主体としたこの触媒粒子によって、燃料噴射ポンプ、プランジャが異常摩耗したり、ピストンリング、シリンダーラインナ等の早期摩耗に繋がります。
従来、燃料消費量の1%~2%近く含まれているとも言われているスラッジは、スラッジ分散剤による分散或いはホモジナイザーや清浄器で分散、濾過され、最終的に取り除かれましたが、低効率的な燃料消費による燃料コストの増加、処理に関わるエネルギー使用コストの増加、これらに関わるオペレーションコストにつながり極めて大きな課題となっていると考えられます。この課題を解決するために当グループの超微粒化技術の応用した処理装置の製品化開発を行い、その製造、販売事業を行います。
事業化する製品は、燃料油清浄機からタンクへ送られたスラッジを大量に含有する燃料をこの処理システムにて微細化分散処理し、再び燃料供給ラインへ戻し、舶用燃料として使用するという今までにないコンセプトに基づく製品であり、舶用ナノエマルジョン燃料装置との併用によりNOx削減と燃費の大幅な向上を同時に実現するとともに、現行のスラッジの処理において発生しているオペレーションコストを大きく削減することを狙ったものであります。全世界の船舶業界においてIMO規制(NOx削減)への対応と燃費の向上によるエネルギー起源CO2の排出削減と、本来の廃棄物であったスラッジの船内循環再利用による非エネルギー起源CO2の排出削減を同時に達成するソリューション事業となります。